スーパーフードとサプリメント入門

ゴジベリー(クコの実)

こんにちは!今回はゴジベリーを取り上げます
ゴジベリーは「クコの実」としてなじみがあるのではないでしょうか?杏仁豆腐の上に乗っていたり、薬膳鍋には欠かせないですね。しわしわのドライフルーツ状態のものをいつもご欄になっていると思います。

ゴジベリーは中国が原産、ナス科の落葉低木の果実です。
果実は直径1-1.5cmほどの楕円形で漢方薬としての歴史は長く、中国最古の薬物学の本「神農本草経」では上品(上薬)と分類されます。ここでいう上薬とは、養命薬(生命を養う)で、無毒で長期服用が可能。身体を軽くし、元気を益し、不老長寿のための薬と分類されているものです。
漢方薬の中でも、目に良いとされる杞菊地黄丸の主要素材としても有名で、その他多くの漢方薬の素材として使用されています。
薬膳料理としては腎の気虚に用いる雑炊の具として中国などアジア各国の家庭で長年食されてきました1)。
根皮(地骨皮)は医薬品に分類されます。

ゴジベリーは
・ビタミンA、B1、B2、Cを多く含む。
・リノレン酸を含有。
・ルチン、タンニンなどのポリフェノール類が豊富。
・β-カロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチンなどのカロテノイド類が豊富。
・ベタイン、アルギニンやグルタミン、アスパラギン
などのアミノ酸を多く含み、非常に滋養に良い特徴があることがわかります。

ゴジベリーの機能性成分

1.クコ多糖類(LBP類)

クコ多糖は 果実中5~8%。含まれまれるもので2)、
主な作用として
・免疫調整作用、抗がん活性
・食後血糖値の減少
・高脂血症への有効性
・肝保護作用
・抗炎症作用
・抗酸化作用
などがシステマティックレビュー 3)で示されています。

2.ゼアキサンチンを主体とするカロテノイド

目の健康、加齢黄斑変性症の予防に
ヒトの網膜に存在する黄斑色素は、青色光を吸収することにより、光の損傷から感光体細胞層を保護する。黄斑色素の減少が加齢黄斑変性症を引き起こし、高齢者の失明の主な原因となりえます。黄斑色素は、ルテインとゼアキサンチンが豊富な食品の摂取量を増やすことによって増強されると考えられています4)。

Ⅱ型糖尿病患者へのRCT

2型糖尿病患者の合計67人(対照群30人、実験群37人)に対するRCT(中国)。
実験群にはクコ多糖類300mg/日を投与。3か月後、クコ摂取実験群の食後の血清グルコースは有意に減少、インスリン形成指数が増加し、HDLレベルも増加した。クコ多糖類の摂取が2型糖尿病の潜在的な治療補助剤であることを示しました5) 。

その他、主なヒト対象の臨床研究で、免疫調整作用、抗酸化活性、胃腸機能改善、睡眠の質や抗疲労、目の疲労、加齢黄斑変性への効果、美肌効果など、ゴジベリーの機能性について幅広い研究がされています。

美味しい摂り方

ドライフルーツとして、おやつやおつまみ、薬膳鍋として美味しく摂れます。
100%のジュースもあり、そのまま飲んでもよいですが、ヨーグルトやフルーツスムージーに混ぜると風味豊かに摂れます。

安全性

適量を短期間摂取した場合は安全ですが過量摂取は控えましょう。お子様も食べ過ぎないようにしましょう。

勧められない人

妊婦・および妊娠を望む方
クコに含まれるベタインには月経促進や人工中絶薬としての作用があるため、多量の摂取は避けましょう。

まれにアレルギー反応をおこすおそれがあります。  

医薬品との相互作用6)、7)

服用薬がある方にゴジベリーをおすすめする場合、次のことに注意しましょう。
1.ワルファリンとの併用でその作用を強め、出血傾向が高まる可能性あり。
2.シトクロムP450 (CYP2C9)を阻害するという知見がある。
3.糖尿病治療薬との併用で血糖値が過度に低下するおそれがある。
4.降圧薬との併用で血圧が過度に低下するおそれがある。  

引用文献

1) T.Sasaki,W.Li and K.Koike,枸杞の化学成分と生物活性及び健康食品への利用Foods &
food ingredients journal of Japan 218(2), 166-172, 2013
2)Luo Q, Li Z, Huang X, Yan J, Zhang S, Cai YZ,Life Sci. 2006 Jul 10;79(7):613-21.
3)Kwok SS, Bu Y, Lo AC, Chan TC, So KF, Lai JS, Shih KC. A Systematic Review of Potential Therapeutic Use of Lycium Barbarum Polysaccharides in Disease. Biomed Res Int. 2019 Feb 12;2019:4615745.
4) Krinsky NI, Landrum JT, Bone RA. Biologic mechanisms of the protective role of lutein and zeaxanthin in the eye. Annu Rev Nutr. 2003;23:171-201.
5)Cai H, Liu F, Zuo P, Huang G, Song Z, Wang T, Lu H, Guo F, Han C, Sun G. Practical Application of Antidiabetic Efficacy of Lycium barbarum Polysaccharide in Patients with Type 2 Diabetes. Med Chem. 2015;11(4):383-90.
6)ナチュラルメディシン データベース日本対応版 同文書院 2019第6版
7)Probable Interaction Between Lycium barbarum (Goji) and Warfarin – Rivera – 2012 – Pharmacotherapy: The Journal of Human Pharmacology and Drug Therapy – Wiley Online Library

井手口 直子

井手口 直子帝京平成大学薬学部教授・薬剤師

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