薬剤師が解説
カルシウムとマグネシウム
「骨」だけでなく「神経・筋肉」も支える、バランスで考えたい体を整えるミネラル
カルシウムというと、「骨のための栄養素」というイメージが強いですよね。
もちろんそれは正しいのですが、薬剤師の立場から見ると、カルシウムはマグネシウムとセットで考えることがとても大切です。
カルシウムは「動かす・伝える」ミネラル
カルシウムは骨や歯の材料として有名ですが、体の中では次のような働きもしています。
- 筋肉を収縮させる
- 神経の情報を伝える
- 心臓のリズムを保つ
つまりカルシウムは、体を「動かす」「反応させる」ために必要なミネラルです。
マグネシウムは「ゆるめる・整える」ミネラル
一方、マグネシウムはカルシウムとは反対の働きをします。
- 筋肉の緊張をゆるめる
- 神経の興奮を落ち着かせる
- エネルギーを作る反応を助ける
カルシウムがアクセルなら、マグネシウムはブレーキ役と考えると分かりやすいかもしれません。
この2つは「どちらか」ではなく「バランス」
カルシウムとマグネシウムは、体の中で互いに影響し合っています。
カルシウムだけが多く、マグネシウムが不足すると、
- 筋肉がこわばりやすい
- 足がつりやすい
- イライラしやすい
といった不調につながることがあります。
そのため薬剤師としては、「カルシウムだけを増やす」のではなく、マグネシウムとのバランスを意識することをおすすめしています。
こんな方は一度見直してみて
カルシウム・マグネシウムのバランスが乱れやすいのは、次のような方です。
- 牛乳やチーズをよく摂るが、野菜や豆類が少ない
- ストレスが多い
- 運動量が多い
- 足がつりやすい
- 寝つきが悪い
注意
※病気の診断ではなく、栄養状態を考える目安としての情報です。
摂りすぎた場合の注意点
体に必要なミネラルでも、摂りすぎには注意が必要です。
カルシウム
- 便秘
- 他のミネラル(鉄・亜鉛)の吸収を妨げることがある
マグネシウム
- 下痢やお腹のゆるみ
- 特に一度に多く摂った場合
「多ければ安心」というものではありません。
飲み合わせで気をつけたいこと
薬剤師として、必ずお伝えするポイントです。
効果を弱めてしまう可能性があるもの
- 抗生物質(セフジニル、ニューキノロン系、テトラサイクリン系)
- 甲状腺のお薬(レボチロキシン)
カルシウム・マグネシウムと一緒に飲むと、吸収が落ちることがあります。
併用する場合は、2〜4時間あけて服用時間をずらすようにしてください。
抗生物質や甲状腺のお薬は血中濃度の管理が大切なお薬です。主治医にも相談しましょう。
効果が強く出てしまう可能性があるもの
- 骨のお薬(活性型ビタミンD3製剤)
- 心臓のお薬(ジゴキシン製剤)
特にジゴキシンは、血中カルシウム濃度が上がることで、悪心や不整脈を起こす危険があります。
服用中の方は、必ず主治医や薬剤師に相談してください。
飲むタイミングのおすすめ
おすすめのタイミングは、食間や寝る前です。
カルシウム・マグネシウムは制酸剤として胃酸を中和する作用があり、食直後では消化不良につながることがあります。
ただし一番大切なのは、毎日無理なく続けられる時間帯です。
薬剤師からのまとめ
- カルシウムとマグネシウムはセットで考える
- 骨だけでなく、筋肉や神経にも関わる
- 摂りすぎや飲み合わせには注意
- 不安なときは薬剤師に相談を
サプリメントは、食事や生活習慣を支える補助役です。
「今の体に本当に必要か?」そんな視点で、上手に付き合っていきましょう。